「葛のツル」を食す③

古代の人は普段、何を食していたのでしょうか。海辺なら魚や貝。山なら木の実、野草。山野草を食べる習慣は現代の我々にもあります。

本日は「葛のツル」シリーズ③です。

身近なものを食す


草刈りの際の邪魔者扱い「葛」。根っこは「葛粉」に、ツルからは「繊維」が取れ、昔から利用されてきましたが、繁殖力が旺盛で広がってしまうと退治するのは大変です。

根を葛粉にするには大層な手間がかかるので本葛粉は高価です。葛粉は、その根っこから取り出された澱粉です。 市販されている葛粉は甘藷澱粉を混ぜたものが多く、混じりけのない葛澱粉100%のものが「本葛」と呼ばれています。



さて、緑のモンスターの異名を持つ葛のツル。先っぽの指で折れる柔らかいところや新芽の葉っぱは美味しく食べられるそうなので試してみました。豆科の葛はどこにでも生えているので採取してくるのは容易です。


調理方法としては、茹るか天ぷらが一般的なようで、とりあえず衣をつけて天ぷらに。カラッと揚げたら軽く塩を振っていざ実食。クセのない味で食べやすく自然な甘味もあります。今回は天ぷらにしましたが、古代の人はせいぜい茹でるくらいしか調理方法はなかったと思います。

葛の天ぷら



昔から、葛の根っこは良質な澱粉「葛粉」として和菓子にしたり、「葛根湯」として漢方薬としても使われています。花は秋の七草のひとつで食べられますし、ツルからは繊維が取れ、利用価値のある植物です。ただ、製品になるまでにものすごく手間と時間がかかるので、その大変さからどうしても敬遠されがちのようです。




【天ぷらの起源】