「葛のツル」から繊維を取る①

糸を作る


古代の人に倣って身近にある植物から糸を取り出してみました。浦間茶臼山古墳付近にあるお馴染み植物といえば草刈りの際の厄介者「葛(クズ)」。取っても取ってもうんざりするほどの成長力です。

厄介者ですが、花(秋の七草)は綺麗ですね。

秋の七草


ハギ、ススキ、クズ、カワラナデシコ、オミナエシ 、フジバカマ、キキョウ


「秋の七草」は、奈良時代の歌人、山上憶良やまのうえのおくらが 万葉集において選定しました。

「秋の野に咲きたる花を指折り(およびをり)かき数ふれば  七種(ななくさ)の花  萩の花 尾花葛花 撫子の花  女郎花 また藤袴  朝貌(あさがお)の花」


いくら刈り取ってもクズの勢いは衰えません。クズの脅威はアメリカでグリーンモンスターと呼ばれているほど凄いものです。

葛


まず、古墳付近にあるクズのツルを採取してきました。真っ直ぐなツルを選び、葉や脇芽を取り、くるりと巻いておきます。



これを熱湯で15分くらい茹でます。鍋の中に刈り取ったススキを入れてその中に茹でた葛を入れてその上からススキを被せて覆い、蓋をして数日そのままにしておきます。

5日程経ったあたりで確認し、白くカビのようなものが生えていれば発酵しています。
水に入れて表面を擦ると腐ったぬめりが取れてツルッとした茎が現れます。少しづつ引っ張って平たい紐状のものを取り出します。


乾燥させます。艶がある繊維が取れました。


乾燥させたら、さらに細く割いて糸にします。帽子やバッグ、ラッピングに使うラフィア(ラフィア椰子の葉から採れる天然繊維)に似ています。


出来上がりました。
2巻のクズから取れる量はこの程度。
衣服にするにはどのぐらい植物を採取し、手間暇かけないと完成しないのだろうかと考えると少しばかり気が遠くなります。

本格的には地面に穴を掘ってススキの葉っぱで室(ムロ)を作りその中で茎を腐らせたり、洗う作業は川で流しながらするそうです。今回は簡易的にやってみました。日本の伝統的な方法でやってみたい方は検索すると出てきますのでお試しください。

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