古墳時代の陶器
皆さんは、陶芸教室などで陶器を作った経験がありますか。
初めての場合、多くの人は「手ひねり」「紐作り」で作られたと思います。これに対し「ろくろ」を使って制作する方法があります。古墳時代、まだ「ろくろ」は日本に存在していません。朝鮮から「ろくろ」が伝わったのは飛鳥時代です。

紐状にした粘土を積み上げるという手法は、小さなものから相当大きなものまで出来るのが魅力です。
現在でも大型作品を作る場合、紐作りという手法を取る場合は多いです。土を紐状にして積み上げ形にしていきますが、下から順に硬さを確認しながら重ね、土と土をしっかり締め、接着しているのでキズが出にくいというメリットがあります。
大きな作品の場合は、最初に積んだ粘土が程よく乾いたところで積み上げていきますが、乾燥しすぎると接着出来ませんので様子を見ながら進めます。また、大きいものは自重で潰れることがあるので、一段づつ段階を踏んで重ねていきます。



紐と紐との繋ぎ目は、ヘラなどで撫でてしっかり接着し最終的な大きさまで積み上げます。

特殊器台の内側を見ると「紐作り」で作られたことがわかる、積み重ねた跡が見えます。
出来上がった作品は十分乾燥させます。乾燥が不十分だと焼成時に水蒸気爆発を起こしたり、キズが出たりします。
当時は、野焼きしか焼成方法はありませんでした。焼成中に雨が降ってきたらどうしていたのだろうと思います。



現在のようにきちんとした工房で、電気・ガス・灯油といった炎のコントロールが出来る窯を使用する時代にあっても難しいことは多くあります。
先人たちの創意工夫の積み重ねが、現代の我々の生活へ繋がっていることのありがたみを時には考えてみたいものです。