古代の陶器作り
焼き上がった陶器を愛でる。
とても和む時間です。
現代では、作る作品に適した土が簡単に手に入り、炎のコントロールが出来る窯があります。
ですが、縄文から弥生そして古墳時代頃に作られていた陶器は、どのようにして材料となる土を得、作り、焼かれたのでしょうか。
出土品を見ていると、小さなものから大型の特殊器台や陶棺まで様々です。焼き物には粘性のある土が必要ですが、作るものの大きさによって土の配合を考えなければ上手く完成させることは出来ません。






現代のように陶芸材料店から土を購入した場合でも、作品の大きさに適したオリジナルの土を配合。その際には、道具として漉し器や撹拌棒、バケツ、石膏鉢などを使用します。




便利な道具のない時代、当時の人々は土を掘り、これは使えると判断出来たら持ち帰ったことでしょう。掘った土が何もしなくてもそのまま使えたのであれば凄いことですが、どうでしょうか。
疑問といえば、いくつかあります。Q & A で答えてほしいけれど、残念ながら A は、我々が想像してみるしかないようです。
Q
使い勝手のいい状態の土が当時、大量に存在していたのでしょうか?またその粘土はどうやって運んだのでしょうか。
Q
粘土で作ったものは焼成するまでにしっかり乾燥させないといけません。乾燥が不十分だと焼成中に水蒸気爆発を起こしたりキズの原因になるからです。
ということは、作ったものを完全乾燥するまで濡らさないよう置いておく場所が必要です。
当時の建物で完全に雨が凌げたのでしょうか?
Q
持ち上げられるサイズの陶器はどこにでも移動できますが、大型の埴輪、ましてや陶棺などは作った場所から動かすのは破損の可能性大なので移動は難しい。
だとすると、作った場所で焼いたのでしょうか?
Q
焼成方法は「野焼き」しかない時代、途中で雨が降ってきたらどうしていたのでしょうか?
現代の陶芸家でも簡単な作業ではないのに、便利な道具やしっかりとした建物のなかった当時、素晴らしい仕事をしていた作り手に畏敬の念を抱いてしまいます。
そして、遠い古の人々が祈りを込め作り上げた陶器を現代の我々が見ることが出来るという事実。
それは何物にも変え難い宝だと思います。