古墳を巡る-両宮山古墳
両宮山古墳墳丘裾の保存整備工事が4月に完了したそうです。濠に水が入り、周囲の新緑と共に美しくなりました。
両宮山古墳・墳丘裾保存整備工事
水をたたえた内濠に映える墳丘
前方部墳丘裾の整備状況(東から・令和6年4月撮影)
両宮山古墳は、長さ206mの墳丘に内外二重の周濠を備えています。外濠は現在水田の地下に埋まっていますが、内濠は農業用ため池として満々に水をたたえ、この古墳独特の美しい景観を生み出しています。一方で、水をたたえた内濠は墳丘裾を崩落させ、その浸食は徐々に進行しています。このような墳丘裾の崩落・浸食という現象は、水濠をもつ近畿地方の大古墳でも同様に発生しています。
墳丘裾の保護対策を検討するため、平成25~27年度にかけて墳丘第1段の確認調査を行いました。墳丘の第1段斜面は大きく流失しているものの、水面下の堆積層より下位には墳端へ向かう墳丘斜面が残っていることが判明しました。そこで、墳丘を掘削せず、墳丘裾の損壊がこれ以上進まないような工法を検討し、フトンかごによる護岸を行うことにしました。捨石の上に異形フトンかごを2段積み、内濠からの波浪を防ぎます。両宮山古墳からは葺石が見つかっていないのですが、堅固な護岸とするため、石材を使用しています。県内唯一の水濠をもつ古墳の景観を維持し、貴重な歴史遺産を次世代へ引き継ぐために大切な工事です。
この墳丘裾保存整備工事は、平成29年度から着手し、現在7ヵ年が終了しています。
出典・引用 赤磐市教育委員会
岡山県赤磐市穂崎
工事のために水が抜かれると裾部分が見え古墳の形がわかりますね。







水を周囲にたたえた両宮山古墳は、さすがに美しく、周濠を持つ古墳は全国でも多くはないのでこの風景は貴重です。


