古代人が食べていたもの
古代の食を考える
稲作が日本で始まる前、人々の暮らしは狩猟、採集、漁に依存したものでした。縄文時代の遺跡からはトチ、クルミ、クリ、カシなどの堅果類の遺物が大量に出土しています。今風に言えば「地産地消」、身近な森や川・海から食の恵みを得るという生活の原点を古代人は行っていたということです。
皆さんは「どんぐり」を食べてみたことがありますか?
栗に近い似たような味だろうかと想像してみましたが、論より証拠、経験は頭で考えた知識に勝るということで、マテバシイの実を食べてみることにしました。
実自体は比較的大きめです。
マテバシイの実をフライパンで空炒りします。
しばらくすると軽く焦げが出て外皮に割れが入り始めます。しばらく炒り続け実に火が通ったところで外皮を剥きますが、これがなかなか手間な作業です。当時、道具といえば石ぐらいで、一人の大人が充分食べられる分量を作るのに、どれほどの時間と手間を費やしたことでしょうか。
↓剥くと薄皮のついた白っぽい中身が出てきました。
日本史上で塩が登場するのは、縄文時代後期から弥生時代初期と言われていますので、味付けは塩だけです。
肝心のお味は、カサカサと乾いた食感でほぼ味がしなかったです。栗のような甘みもなく、渋みもあまりありませんでした。もう少し積極的な調理をした方がいいのかもしれませんが、現代人の我々からすると美味しいとは言い難いというのが正直な感想です。
古墳時代に出てきた土器には須恵器、土師器
があり土師器は火にかけられますが、現在のような質のいい鍋ではないため簡易的な料理方法しかなかったと考えられます。そして限られた食材を無駄なく使う努力や工夫をして生きてきたことでしょう。
人は選ぶべきものが多いほど選り好みをしてしまいがちで、そこからは必ず無駄が出てしまいます。
古代の歴史に学び、ものを大事にしていた人類の原点を考える時に来ているのかもしれません。